政府マネーで5%割引、小売店のキャッシュレス決済導入バブル到来か

2019年10月の消費税2%増税に向けて着々と準備が進められていますが、食料品以外のほぼ全ての商品において8%→10%と税額ベースで25%の増税となるだけに経済へのマイナス影響は避けられないため、政府が景気対策にキャッシュバック制度を導入しようとしています。

政府マネーで5%還元

検討されているキャッシュバック制度は次のようなもの。

安倍晋三首相は22日、2019年10月に予定する消費増税への経済対策として、クレジットカードなどを使ってキャッシュレス決済した際に5%のポイント還元を検討する考えを表明した。増税から20年夏の東京五輪前までの9カ月間実施する。

引用元: 消費増税対策、還元ポイントは5% 9カ月間で検討(日本経済新聞)

 このポイント還元相当額として日本政府は2019年度予算2,798億円を計上しており、5%還元が政府マネーによる景気対策であることがわかります。

政府としては、割引による経済効果だけでなく、小売店の売上捕捉による脱税回避、キャッシュレス決済普及による経済効果、キャッシュレス決済情報のビッグデータ活用などを見込んでいると思われます。

小売店の負担となる決済手数料も減額or無料

ここで問題なのがキャッシュレス決済の決済手数料です。

通常クレジットカードなどの決済を店舗やネットショップで導入すると、4~5%程度の決済手数料がVISAなどの決済会社から差し引かれます。

大手小売チェーンやコンビニ・大手ネットショップ等では3%前半程度の手数料と言われていますが、手数料率を落とすためには月額数万円~百万円近い固定費を払うプランに加入する必要があるとも言われています。

そこで、今回のキャッシュレス決済普及のため、決済事業者に加盟店手数料を3.25%以下にするよう求める方針とし、さらに手数料の3分の1を、決済端末の3分の2を日本政府が負担する方針のようです。

導入無料・格安手数料の決済事業会社は早めの導入を

PayPay(0%)、Origami Pay(3.25%)、Square(3.25%)など、無料で導入でき、決済手数料も格安(~3.25%)な決済事業会社は複数社あります。

現在はどの決済事業者も加盟店を増やしてシェアを増やすため加入は容易かと思いますが、加盟店審査は必須のため、加盟店の増加に伴い加盟できなくなる事業者が出てくる可能性があります。

実際、Yahoo!ショッピングはAmazonや楽天にシェアを奪われた反省から「eコマース革命」として無料を大々的に打ち出し、大幅に新規加盟店を募集した時期があり、加盟店数が急増しましたが、加盟店申請に乗り遅れた事業者は加盟できないというケースもちらほら見られました。

脱税店舗摘発にも有効か

2019年に巻き起こったキャッシュレスブームは政府も後押ししておりますが、理由の一つに脱税事業者の摘発もあるのではないかと考えられます。

例えば、現金取引の多い飲食店では国税局側からみれば売上除外などの脱税が発生しやすい業種と言えます。この点は売上金が銀行経由で着金することの多いIT業界等の業界とは異なります。

また、不動産業界のように近隣相場や坪数等での売上の推計が困難なため、売上の推計も難しいと言えるでしょう。

今回のキャッシュレスブームは、地方部にまで浸透することで、キャッシュレス決済の売上データが全国多種多様の小売店舗から上がることにより、どのような店舗がどれだけのキャッシュレス決済があるのかを把握することができます。

また、地域・業種全体でのキャッシュレス決済と現金売上の比率を算出することで、キャッシュレス決済に対して申告上の売上の低い事業者を洗い出すことができるため、現金売上の除外を行っている店舗(=脱税している事業者)の抽出が容易となります。

そうした税収増加のメリットを考えると、1年限定での5%還元は政府としてコストパフォーマンスの良い公共事業と言えるかもしれません。

ビッグデータの活用も注目

他にも、今まで初期導入コストや決済手数料、決済端末コストに躊躇してしていた小売事業者も、無料でさらに5%の値引きコストを政府が負担してくれるとの利点に導入がされるようになり、地方部のローカル飲食店にもPayPayの看板がついている、という状況になってきました。

これにより、今までデータ化が難しかった地方の消費行動も隅々まで細かい売上データとして収集できるようになり、決済事業者がビッグデータとしてマーケティングや広告・営業活動等に活用できるようになるかと思います。

好意的に捉えれば、今まで欲しかったけど地方部では入手しにくかった商品などが店頭に並ぶようになるなどのメリットも出てくるでしょう。