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【法律】さいたま地裁「忘れられる権利」を明示 逮捕歴の削除請求を容認

元逮捕者に「忘れられる権利」があるとしてネット検索結果に表示される逮捕歴の削除を認めたさいたま地裁判決が話題となっています。

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検索エンジンを提供している企業に対して逮捕歴の削除を求める訴訟は以前から何度か提起されており、その度にネット上でも話題となっていました。

札幌地裁、逮捕歴が表示されるGoogle検索結果の削除請求を認容

そして、今回のさいたま地裁の判決で初めて元逮捕者に逮捕歴があることを「忘れられる権利」があると認められ、さらに注目を集めています。

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今回の判決は妥当なのか?Twitterユーザーの声は?

今回の判決はTwitterでも大きな話題となっており、多くのユーザーの意見が次々と投稿されています。これまでもそうでしたが、今回の判決に関する意見は両極端に分かれているようです。

確かに犯罪は悪いことですが、逮捕歴の情報が周囲に知られることになるので、罪を償った後も平穏な生活が困難となる恐れがあります。

それに、そもそも逮捕は「犯罪を犯した疑いがあり、罪証隠滅や逃亡の恐れがあるため身柄を拘束する」ものであり、逮捕者=犯罪者ではなく、仮に犯罪を犯したことが裁判で確定しても、刑の執行(罰金刑・禁錮刑・懲役刑・死刑など)で罪を償っており、刑の執行が終われば刑法的には罪を償い終わっているのです。

もちろん、刑法的に刑の執行が終わっても、社会的制裁はまた別となりますので、一切の犯罪歴を公開されない権利があるというわけではなく、社会にも知る権利があるという考え方もできるでしょう。しかし、犯罪を犯したものは執行で更正させ社会復帰させるという目的もあることから、「社会復帰を阻害する恐れがあるのでは」という声もあるのです。

周囲に逮捕歴が知られることにより就職やまともな生活が難しくなることが引き金となり、更生が阻害され、再び犯罪が誘発されるのではないかという問題もあります。

ただもちろん、最も傷ついているのは被害者ですから、かなり難しい問題ですよね。

こういったことを経験していない私にはちょっと想像がつきませんが、一度の過ちが一生の生活に影響してくるというのはかなり深刻な話でしょう。

それまでの人生で犯罪を犯したことがなかったような人が被害者にひどい目に合わされてどうしようもなく犯罪を犯してしまったというような特殊なケースもあるようですが、再犯率の高い犯罪などもあるのでその点も考慮する必要がありそうです。

「忘れられる権利」はなぜ認められたのか

日本の刑法では、法律に定められた行為をすると刑罰が課せられるようになっていますが、刑罰といっても6種類あります。

刑法第9条
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

例えば懲役であれば、一定期間身体を拘束されて刑務作業に従事することが刑罰の内容となりますが、この懲役を全(まっと)うして刑務所を出たら法律上は罪を償ったことになります。

いくら過去に罪を犯して刑務所に入っていたとしても、法律上では刑務所を出たら一般人と全く同じように扱われるべきことになっています。

つまり、逮捕歴があり有罪判決を受けた人でもその罪を償ったのであれば、一度も罪を犯したことがない人と同じように平穏に生活する権利があります。平穏に生活する権利を行使するためには逮捕歴が周囲に知られないことが不可欠といえるでしょう。

一方最近起きたばかりの犯罪の容疑者が逮捕されたという情報はかなりホットな情報であり、多くの人も注目するでしょうから情報としてはかなり重要です。しかし、犯罪を犯した人が罪を償った後は、その逮捕歴に関する情報はそれほど重要ではなく、むしろ罪を償った人が更生し犯罪を犯さないようにすることが重要となります。

とすれば、罪を償った人の逮捕歴を世間に知らせ続ける必要性もないといえるでしょう。

こうした理由から「忘れられる権利」が認められたと考えられます。

でも、ネットユーザーにも知る権利がある

一方、ネットを利用するユーザーにも知る権利というものがあります。知る権利は憲法上明確に認められた権利ではありませんが、表現をするためには知ることが不可欠という考え方から表現の自由を保障した憲法21条1項で保障されているという考え方が有力となっています。

憲法第21条1項
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

「表現してもいいけど他の人には一切知らせない(表現させない)」というのでは、表現の自由が阻害されることになります。表現の自由は表現を知ってもらう自由でもあり、知る権利と表裏一体なのです。

そして、ネット社会である現在、調べ物をする際にGoogleやYahoo!といった検索エンジンを利用しない人はほぼいないでしょうから、こういった検索エンジンは知る権利を行使するためのツールとしてかなり重要といえるでしょう。

また、GoogleやYahoo!は、一企業として検索エンジンを通じて多くのユーザーに豊富な情報を紹介するという役割を担っています。GoogleやYahoo!が豊富な情報を提供しているからこそ、多くのユーザーがサイトに訪問し収益が上がり企業として存続できているわけです。

しかし、検索エンジンがユーザーが求めている情報をサイトから消さなければならなくなると、ユーザーに紹介できる情報も限られてきてしまうので、検索エンジンとしての価値も落ちてくることになるでしょう。

となると、ユーザーが知りたい情報を表示できなくなるということは、GoogleやYahoo!にとって大きな問題となります。

裁判には多額の費用がかかるけど

裁判をするためには多額の費用がかかってくるので、GoogleやYahoo!といった大企業といえども何度も裁判に応じるのはかなり大変でしょう。

しかし、過去のニュースによると、両社ともに逮捕歴の削除を請求する裁判に対しては争う姿勢を見せているようです。これは、両社共に自社のサイトで逮捕歴が表示できなくなる可能性があるという事態を重く見ていると考えられます。

プライバシー権と知る権利の衝突

今回の問題ではネット上の意見が分かれていますが、その大きな理由の一つとして衝突している権利がいずれも重要な権利であるという点が挙げられます。

つまり、今回の問題では、過去の逮捕歴を周囲に知られたくないというプライバシー権と検索エンジンを利用するユーザーの知る権利が衝突していると見ることができますが、いずれもかなり重要な権利です。

この問題に関する議論が何度も巻き起こっているのは、これらの権利の調整が非常に難しいことにあるというのも大きいでしょう。

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