ビットコインがチューリップバブルを超え、送付手数料が海外送金並みのコストに


chart by bitbank.cc

ビットコイン等の仮想通貨が倍々ゲームで上昇し、値上がりを求め仮想通貨を買い漁る方が急増しています。あまりの急騰ぶりに、17世紀にオランダで発生した記録に残る世界最古のバブルと言われるチューリップ・バブルにも匹敵すると指摘する声も。

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目次

そもそもビットコインや仮想通貨とは何なのか

ビットコイン・イーサリアムを始めとする仮想通貨(暗号通貨)は、ブロックチェーンと呼ばれる技術を利用して世界中のコンピュータの電子データとしてのみ存在する通貨です。

主に国境を超えて安価・迅速に資金を送金する技術として開発されました。

信用力

通常の通貨は日本での日本銀行(Bank of Japan)、アメリカでの連邦準備銀行(FRB・Federal Reserve Bank)等のように、公的に設立された通貨発行権のある団体が発行したもので、その取引の信用性はもっぱら政府によって保証されています。

日本銀行法第46条(日本銀行券の発行)

日本銀行は、銀行券を発行する。
2 前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。

つまり簡単に言えば、1万円の家電製品を買うときに、1万円札1枚でも、千円札10枚でも、日本銀行券であれば支払いを受ける側は日本銀行券での支払いを拒否できないということです。

一方、仮想通貨は政府以外の一般個人・団体・企業等が発行し、その価値は法的に保証されておらず、支払の相手がその受取を拒否すると、支払いの手段として使用することはできません。1コイン1万円の仮想通貨で1万円の商品を買おうとしても、「仮想通貨1コインでの支払いは受けられない」と相手から言われたら、日本銀行券を用意する必要があります。

取引の記録

日本の通貨(円)での取引は、現金取引ではもっぱら帳簿や証書(領収書の発行など)によって手作業で記録され、通貨の保管・運搬や決済の時間(現金を数える等の人件費)、領収書の発行時の印紙税など取引コストが発生します。

一方、仮想通貨は取引は全てブロックチェーンにより記録されています。ブロックチェーンは、データを1つのブロックとして扱い、その取引記録をチェーン(鎖)のようにつなぎ合わせてデータを保管していく分散型ネットワークのことです。

通常の通貨の取引は、取引記録は1ヶ所、多くとも数ヶ所に存在し、取引を記録する帳簿やサーバが消滅すれば取引記録も消滅しますし、少数での管理のため帳簿の改ざんによる不正も行われる可能性があります。

ブロックチェーン技術では、世界中のブロックチェーンを運用するコンピュータが取引を計算し、ブロックチェーンに記録し、世界中のコンピュータに分散して取引データが保管されていきます。一度取引が記録されると改ざんは非常に困難と言われています。莫大な量の計算を超高速で行えば改ざんはできると言われていますが、世界最高のコンピュータをもってしてもその計算速度は出せないと言われています。

通貨量の調整

通常の貨幣は日本銀行やFRBのような中央銀行により発行され、貨幣量の増加・減少も中央銀行により調整されています。

アベノミクスでインフレへと向かっている日本では、日本銀行の黒田総裁が現在日本円の貨幣供給量の増加を進めております。

貨幣の供給増加は1つのピザを何人で食べるのかに似ており、貨幣供給は、ピザを食べる人数を増やすことに等しく、一人が食べられるピザの量が減るかのように、その貨幣の価値は減少します。

日銀が貨幣供給をすることにより、国内に存在するお金が増えることになります。具体的には、日本銀行が銀行が保有する国債を購入して代金を銀行に支払ったり、銀行が日本銀行に預けなければいけない当座預金の量を減らすこといより、銀行が民間企業などにお金を貸しやすくすることによって貨幣供給が行われます。

一方、仮想通貨の貨幣供給を決定する人間は一部の例外を除き存在しません。例えばビットコインの場合、市場に存在する貨幣量は決まっており、新規に供給される仮想通貨(コイン)は一定のルールに従って増えていき、上限も設定されています。供給はマイニングにより行われます。

マイニング(採掘)とは

仮想通貨は電子データ上にのみ存在し、取引もコンピュータの計算に依存するため、仮想通貨を運用するコンピュータが全滅すれば仮想通貨も消滅します。

しかし、ブロックチェーン技術により取引を計算・記録することは膨大なマシンパワーが必要で、膨大な電気代もかかります。

そこで考えられたのがマイニングと呼ばれるシステムで、仮想通貨の取引を計算・記録することによって手数料や新規発行されたビットコインを受け取れる仕組みがあり、その報酬を求めて世界中の人々が仮想通貨の取引を日々計算・記録しています。これをマイニング(採掘)といいます。ブロックチェーンを計算してビットコインを手に入れる仕組みが、金鉱山で金を採掘することと似ているためこのように名付けられています。

マイニングを行うマイナーは、仮想通貨の取引者から少額の手数料をもらったり、取引の計算を行ったものに報酬として追加発行された仮想通貨を受け取ることで利益を上げています。

このマイナーに付与される仮想通貨は上限が設定されており、ビットコインの場合約2,100万枚とされています。


(c)blockchain.info

そして2017年12月19日に16,752,353枚がすでに採掘されています。残り未採掘枚数は4,247,647枚で、発行上限の80%まで採掘されていることになります。

マイニングにより得られる報酬は次第に減っていく仕組みになっており、対数目盛(縦軸がどの場所でも同じ長さなら同じ比率となる)で表示すると、初期と比較して付与されるビットコインがドンドン減っていくことがわかります。


(c)blockchain.info

取引を行うマイナーの報酬が減ることはマイナーの減少につながりますので、ビットコインの取引で発生する手数料も取引を成立されるのに必要とされます。仮想通貨取引所によっては、取引を早く実行させるために上乗せで手数料を支払うオプションを設定しているケースもあります。

また、現時点ではビットコインが急激に値上がりしているため、付与されるビットコイン数自体は減少しても、1コインあたりの価値は急激に上昇しているため、まだまだマイナーの採掘メリットは十分にある状況と言えます。

ただ、ビットコインの採掘にはかなりの電気代がかかるため、主要マイナーな中国や東南アジアなど電気代が安い地域に集中しています。

なお、日本の仮想通貨取引所におけるビットコイン送付手数料は0.001BTC(BTC=ビットコイン)が主流です。

取引所 送付手数料 円換算
bitFlyer 0.0004BTC 800円
coincheck 0.002BTC 4,000円
bitbank.cc 0.001BTC 2,000円
Zaif 0.0001BTC
※0.001BTC以上推奨
200円~
2,000円
BitTrade 0.0005BTC 1,000円

※1BTC=200万円にて計算

高騰で送金手数料が約4,000円と海外送金並みに

ビットコインを他者(外部アドレス)に送付する際には送付手数料がかかりますが、国内トップクラスの仮想通貨取引所であるcoincheckでの送付手数料は0.002BTCとなっています(2017年12月21日現在)。これは送付するビットコイン数に関係なく、0.01BTCの送付でも100BTCの送付でも一律に0.002BTCの手数料が差し引かれます。

12月は1BTC(1ビットコイン)が200万円程度で取引されているため、約4,000円の送付手数料がかかることになります。

2,000,000×0.002=4,000(円)

と、国際送金並の高額な送付手数料がかかることがわかります。1億円分(50BTC)の送付ならともかく、数千円~数万円の少額送金では手数料の比率がかなり高くなります。

安価・迅速な送金が主目的の仮想通貨でこれほど高額な送金手数料がかかると本来の目的を逸脱しています。送付もマイナーたちの計算に依存しているため、今後仮想通貨のマイニングによるコイン獲得量が減るにつれ、送付手数料が上がり続け、もはや送金には使い物にならず、他の仮想通貨(Alternative Coinを略してアルトコインと呼ばれます)への需要が高まり、ビットコイン自体の需要が細る可能性があります。

ビットコインは仮想通貨時価総額1位のため、仮想通貨としての安定性は高く、決済手段として最も使いやすいため、単なる送金手段としてではなく「仮想通貨を保有するならとりあえずビットコイン」といった需要でも購入されており、また投機的に利用されている面もあるため、現状では上昇していますが、皆が異常さに気がつくと暴落する可能性があります。

 

需要が高まるアルトコイン

仮想通貨自体の投資熱が高まる中、ビットコイン自体はもうすでに上昇しすぎており、現在ではアルトコインへの期待感が高まっています。

例えばbitbank.ccではアルトコインではライトコイン・リップル・イーサリアム・モナコイン・ビットコインキャッシュが送付可能ですが、手数料は下記の通りアルトコインのほうが格安といえます。国産仮想通貨のモナコインはなんと送付手数料が破格の2円です。

仮想通貨 手数料 コイン価格目安 円換算
ビットコイン(BTC) 0.001BTC 1,900,000円 1,900円
ライトコイン(LTC) 0.001LTC 35,000円 35円
リップル(XRP) 0.15XRP 120円 18円
イーサリアム(ETH) 0.0005ETH 94,000円 47円
モナコイン(MONA) 0.001MONA 1750円 2円
ビットコインキャッシュ(BCC) 0.001BC 390,000円 390円

※コイン価格目安は2017年12月21日時点

送金手数料が最も安いモナコインが2017年10月の100円前後から12月の1,700円前後へ17倍もの値上がりを見せたのは、時価総額が高く送金手数料の安いアルトコインに対する期待感が高まっているともいえます。


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仮想通貨に投資する場合は、ビットコイン以外のアルトコインの動きに注目です。

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