トヨタから新型プリウスが発売され予約半年待ちとなっている状況ですが、今回のプリウスのポイントは燃費だけでなく、Toyota Safety Sense P の搭載により自動運転に一歩近づいたことにあります。
今回は自動運転の段階と、4代目プリウスがどこまで自動運転の未来に近づいているのかについて解説します。
目次
自動運転と一口に言っても4段階(レベル1〜4)に分かれる
自動運転といえば、行き先を告げると無人タクシーのように目的地へ行ってくれるといったものを想像しがちですが、自動運転にも大きく4段階に分かれます。
レベル1「ブレーキ・アクセル・クルージングの自動化」
まず自動運転の第一段階(レベル1)として、アクセルとブレーキの自動化があります。最も早く市販車に導入されたのは衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)、そしてスバルのアイサイトに代表されるクルーズコントロールです。
衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)
衝突しそうになると警告音を発するシステムもありますが、最も早く自動ブレーキが市販車に導入されたのは2003年のハリアー(トヨタ自動車)でした。この時はまだ初期作動のみでしたが、同年にインスパイア(ホンダ)で本格的に自動ブレーキが搭載されました。
この自動ブレーキの技術として前方の安全性の確認に使われるのが、車載レーダー等に使われるミリ波(EHF)レーダーです。車体より遠くの状況を把握することができ、またカメラと違って悪天候や視界不良の影響を受けづらいため主に使われていきました。赤外線センサーもありますが、遠くの状況の把握には向いておらず、また太陽光のノイズがあるためミリ波レーダーと比較すると実用性に欠けます。
今回の新型プリウスではこれに単焦点カメラを搭載し、車だけでなく通行人の動きも捉えて自動ブレーキを作動させることができるようになっています。これに雨や夜間のような視界不良時にも効果的なミリ波レーダーを組み合わせて精度を高めており、より衝突を回避する性能が高まっています。
クルーズ・コントロール
さらに、スバルのアイサイトにも代表されるクルーズ・コントロールも自動運転のレベル1に該当します。
クルーズコントロールとは、速度を設定すると設定した一定速度で巡航し続けるというもので、自動アクセルの一種です。基本的には周囲の状況に関係なく巡航し、運転手が危険を感じたら自発的にブレーキを踏むことでクルーズコントロールが解除されるという仕組みです。
ただし、実際には先行車が一定速度で走っていることは稀で、頻繁に速度を設定しなおしたり、ブレーキを踏んでクルコンがリセットされ、再び設定し直す必要があるなど、ちょっと手間のかかる機能でした。
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)
その後、スバルのアイサイトで車間制御機能を搭載したアダプティブ・クルーズ・コントロールが導入され、先行車の速度に合わせて走行し、必要に応じてブレーキも組み合わせることで、ハンドル操作を行っていればあとは先行車に自動でついて行くようになりました。
これにより、東名高速のようなほぼ直進の高速道路において、アクセルとブレーキの操作を殆ど行わなくても良い状況になったといえます。
ただ、あくまで先行車についていくだけですので、アクセルとブレーキの操作が不要になったというわけではありません。新型プリウスの場合は先行車に合わせて停車するとアダプティブ・クルーズ・コントロールは解除され、発車するにはアクセルを踏んでまたクルコンをONにする必要はあります。
レベル2「ステアリング自動化」
自動運転の第二段階(レベル2)は、部分的なステアリング操作の自動化です。自動運転の最終段階では車線変更や右左折も含めたステアリング操作を自動で行うことになりますが、レベル2でのステアリング操作は「高速道路で同一レーンを走り続ける」レベルのものです。
トヨタ自動車のWebサイトによると、4代目新型プリウスに搭載されるレーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)は、速度50km/h以上で幅3m以上の道路でのみ作動するとのことで、実際には高速道路や広めの自動車専用道路・有料道路に限定されるようです。
レーンディパーチャーアラート*5*6*7(ステアリング制御付)
道路上の白線(黄線)を単眼カメラで認識し、ドライバーがウインカー操作を行わずに車線を逸脱する可能性がある場合、ブザーとディスプレイ表示による警報でお知らせ。さらに電動パワーステアリングを制御することで、車線逸脱を回避しやすいようにドライバーのステアリング操作をサポートします。
*6.本システムは幅約3m以上の車線を自車速度約50km/h以上で走行時に作動します。また道路状況、車両状態および天候状態等によっては、ご使用になれない場合があります。
他にも、自動駐車システムもレベル2に含まれます。日本では完全な自動運転は法律上行えないので、新型プリウスに搭載されている自動駐車システムも、シフト操作やブレーキはドライバーが行うことになっていますが、動画を見たところ駐車の苦手な人よりはシステムのほうが駐車は上手かもしれません。
また、ドライバーがハンドル操作を放棄しないことを前提に自動運転が日本の公道でも合法となりましたが、電気自動車(EV)の米テスラ・モーターズが販売するテスラ・モデルSはハンドルに5分間触れていないと解除されるというもので、車線変更にもウインカー操作等が必要となりますので、一応レベル2の段階ということになります。
もちろん、テスラ・モーターズの所在地であるアメリカでも同様で、1分間に数回はハンドルに触れていないと自動運転が解除されたり、二車線の走行車線が一車線に合流するときに警告音を鳴らしてドライバーのハンドル操作を必要としたり、交差点内では自動運転が利用できないなど、市街地での活用は想定されておらず、あくまで高速道路の巡航に使用するというもので、これもレベル2となります。
レベル3「手放し運転」
自動運転の第三段階(レベル3)は、手放し運転です。レベル1のアダプティブ・クルーズ・コントロールに加え、レベル2のステアリング制御付きハンドルアシストを組み合わせ、さらに目的地を決めて進路変更・右左折・停車・発車などの動きを自動で行えるようになった段階のことです。
ただし、このレベルではまだ運転手は運転席に座ったままになり、緊急時の動作はドライバーが行う必要があります。
米テスラ・モーターズの自動運転車はこのレベル3の実現を目指しているといっていいでしょう。今はレベル2を磨き上げてレベル3を目指している段階です。
レベル4「運転席が不要になる」
自動運転の最終段階(レベル4)は、緊急時の動作も含めて完全に自動運転化され、運転席が不要になるというレベルのものです。
サーチエンジンで有名なGoogleも自動運転に参入していますが、Googleが想定するのはミスのある人間の操作を完全に排除した運転席のない自動運転車であり、それまでは自動運転車を販売することはないようです。
米グーグル<GOOGL.O>の共同創業者、セルゲイ・ブリン氏は当地で開催されたイベントで、ハンドルやアクセルおよびブレーキペダルがない自動運転車のプロトタイプ(試作車)を開発していると明らかにした。
4代目新型プリウスはほぼレベル2に到達
新型プリウスは、自動運転のレベルでいえば「ほぼレベル2」の段階にあるといえます。「ほぼ」である理由は、ハンドルに触れないでいるとアシストが解除されるからです。これは日本の公道では完全なる手放しでの自動運転が認められていないからです。
しかし、技術的にはレベル2の段階には達しているといってもいいでしょう。東京から大阪まで行く時に東名高速上で使う分にはかなり労力が削減されると思います。
残念ながら市街地での運用には白線や別車線の走行車だけでなく、対向車や歩行者の認識、横断歩道の識別とその歩行者や自転車の認識、右折時に対向車や対向車の脇から出てくるバイクと衝突しないレベルの安全性、左折時に左側のバイクや歩道の自転車・歩行者を巻き込まないレベルの安全性と、かなり難易度が高くなります。最も自動運転に力を入れているテスラモーターズですら未だに市街地での走行は自動化できていません。
グーグルの自動運転は市販せずひたすら実験を繰り返しており、どのレベルに達しているかはわかりませんが、テスラや新型プリウスを超えてレベル4の市販段階に来るかもしれませんね。下記の動画を見る限り、Googleの自動運転車は別車線だけでなく自転車や歩行者・交通規制・標識等も認識していることがわかります。
ピンク色が車両・自転車・人間、黄色が標識、オレンジがカラーコーンとして認識されているように見えます。
引用元:A Ride in the Google Self Driving Car(YouTube)
ここまでくると自分たちが生きている間に運転席のない自動車が発売されそうで楽しみですね(ノ)・ω・(ヾ)
コメント
自動になるのは有り難いけど、自身の注意力が衰えそうですね…
(´・ω・`)
そのうち人間の注意力をコンピュータの注意力が上回る時代が来れば大丈夫です(´・ω・`)