定価3万円でも完売した高級電卓CASIO S100が実は公認会計士・税理士に最適なバリバリの早打ちモデルだった

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2015年9月30日にCASIO電卓販売50周年を記念して数量・期間限定で限定品ではないとのご指摘を頂きました。感謝します!)販売されたカシオの高級電卓「S100」の存在意義について、ネット上では意見が真っ二つに分かれています。「大企業の財務担当者に最適」という声もあれば「スマホが2万円で買える時代にたかが電卓に3万円払うのはおかしい」といった声も見受けられます。

そんなCASIO S100のどこが凄いのかを、実際に愛用している管理人が解説したいと思います(`・ω・′  )

目次

まず、電卓は早打ちのために存在する!

そもそもなぜスマホやパソコンテンキーがあって簡単な四則演算なら直ぐにできてしまう時代になぜ今更わざわざ時代遅れの電卓を使う必要があるのかと思う方も多いんじゃないでしょうか。それは、スマホやパソコンテンキーでは早打ちができないからにつきます。

早打ちには複数の指を同時に動かして大量に数字を入力していく必要がありますが、スマホはそもそも複数の指で同時に入力するような設計ではありませんので早打ちは不可能であり、1本の指で1つずつ押していく必要があります。

パソコンのテンキーは人差し指で「0」キーを押す(「1」キーの下に「0」キーがある)シャープやキャノンの電卓のユーザーであればともかく、カシオのように「0」キーを親指で押すタイプ(「1」キーの左下に「0」キーがある)のキータッチになれてしまった人には押しにくいといえます。

「じゃあパソコンのテンキー配列に慣れればいいのでは?」と言えるかもしれませんが、必ずしもテンキー付きのデスクトップパソコンの前でしか作業しないならともかく、例えば税理士や会計士のように顧客企業に訪問して計算を行う場合にはデスクトップパソコンは持ち運べませんし、テンキーのついた大型のノートパソコンは重い割に電卓のキーが小さくキー配列がめちゃくちゃであることが多いので実用には耐えません。そもそも、計算をするためだけに2kg近く重量のあるテンキー搭載の15インチノートを持ち歩くのは現実的ではありません

したがって、どこに出掛けても普段と同じ環境で高速計算できる電卓の需要はそうそう衰えることはないかと思います。

では、どの電卓メーカーが良いのかについてです。

3大電卓メーカーは「CASIO」「SHARP」「CANON」

序列としてはカシオとシャープが2大勢力でややカシオが優勢といった感じです。

CASIO > SHARP > CANON

一度そのメーカーを選ぶと手に馴染んでしまい他のメーカーに買い換えると早打ち速度が落ちるため、公認会計士試験や税理士試験の受験生たちの間では「最初にどの電卓を買うべきか」というテーマで議論が巻き起こるほどです。また、会計士や税理士が飲み会に行くと、カシオ派とシャープ派でどちらの電卓が優れているか盛り上がることもあります。

キャノンに関しては両者ほど人気ではありませんが、会計業務の世界ではCANON電卓の愛用者もいます。

今から電卓を購入する受験生や財務・経理職の方が電卓を買い換える場合、カシオかシャープのどちらかが圧倒的に候補に上がります。

早打ちに必須な機能「キーロールオーバー」

電卓を早打ちで入力するのに必ず必要になってくるのが「キーロールオーバー」機能です。これは、複数のキーを押した状態でもそれぞれのキーを認識してくれる機能です。例えば、

  1. 「1」キーを押しこむ
  2. 「2」キーを押し込む
  3. 「1」キーを離す
  4. 「2」キーを離す

という動作をすると「12」と入力されるのが「2キーロールオーバー」です。キーロールオーバー未搭載機種だと最初の「1」キーを押し込む動作しか認識されず「1」と入力されるわけです。

また、高速で早打ちする際には人にもよりますが3キーを同時に押すことがあるため、理想的には「3キーロールオーバー」を搭載した電卓が理想となります。3キーロールオーバーでは

  1. 「3」キーを押し込む
  2. 「2」キーを押し込む
  3. 「1」キーを押し込む
  4. 「3」キーを離す
  5. 「2」キーを離す
  6. 「1」キーを離す

という動作をすると「321」と入力されます。2キーロールオーバー搭載機だと動作4の時点で「1」「2」キーの両方を押していることになり、このうち一番小さい数値が入力されたとみなされるため、「31」と入力されます。「65,100」と入力する際に「6,100」と途中の数値を入力ミスしてしまう可能性があります。もちろん、キーロールオーバー非搭載機種の場合、動作1しか認識されないので「1」と入力されます。

「カシオ」の「3キーロールオーバー搭載電卓」という選択肢だとこれしかない

そして、最も人気メーカーのカシオで早打ち可能な「3キーロールオーバー」搭載の電卓がほしい場合、今まではそんな電卓はどこにも売っていませんでした。今回の50周年記念モデル「S100」の発売で、CASIOの3キーロールオーバー搭載モデルとしては「唯一の選択肢」ができたというわけです。

pic-casio-s100

CASIO S100が「レスポンスがいいらしい」とネット上で話題になっていますが、キーを入力して表示されるまでの時間は各電卓でも殆ど体感できないレベルですので、3キーロールオーバー搭載のためバシバシ入力しても指の動きに吸い付くように入力がついていけるということではないかと思います。つまり、

3キーロールオーバー = レスポンスがいい

ということでしょう。

なお、カシオの実務電卓で有名な「JS-20WK」や「JS-20DT-N」は2キーロールオーバー搭載ですし、他のラインナップも殆どが2キーロールオーバーか非搭載のどちらかです。

カシオ 本格実務電卓 検算・税計算 ジャストタイプ 12桁 JS-20WK
カシオ 本格実務電卓 検算・税計算 ジャストタイプ 12桁 JS-20WK

シャープの3キーロールオーバー搭載の現行機種はなし。販売終了品は中古相場1万円以上

SHARPに関しては現行機種で3キーロールオーバー搭載機種はありません。2キーロールオーバー搭載機種までとなります。根強い人気を誇るのが「EL-N942CX」。これより大きいセミデスクトップサイズもあります。

シャープ 実務電卓 抗菌ナイスサイズタイプ EL-N942CX
シャープ 実務電卓 抗菌ナイスサイズタイプ EL-N942CX

そして、10年以上前に学校用電卓としてTACや大原簿記学校のような会計系予備校、商業高校や経理系専門学校に限って販売されていた「SHARP EL-G35」は3キーロールオーバーが搭載されているシャープ唯一の電卓でしたが、現在では販売しておらず、中古相場では現在でも1万円以上(中には2万円の値がつくものも)するという高騰ぶりです。

SHARP 学校用電卓 EL-G35
SHARP 学校用電卓 EL-G35

現在会計士・税理士として活躍されている方はEL-G35で受験時代を乗り切ったという方が多く、今でも受験生時代に購入した当時の電卓を未だに愛用されている方も多い名機中の名機です。

実はこの電卓、CANON S100が出る前は中古相場で3万円以上値をつけることもあったほどの高騰ぶりでした。キャノンかシャープで3キーロールオーバー搭載の電卓は中古のEL-G35しかないという恐ろしい状況でしたし、所有されている会計専門職の方の殆どは「これが壊れたらオシマイ!」と言わんばかりになかなか手放さなかったため、とにかく入手困難な機種だったのです。

どれほど3キーロールオーバー搭載の大手メーカー電卓が希少かがわかっていただけたかと思います。

キャノンの3キーロールオーバー搭載機種はちょっと残念

そして、電卓メーカーとしてはカシオ・シャープには劣るものの有力候補であるキャノンは、なんと現行機種で3キーロールオーバーを搭載する1万円以下のプロ仕様電卓モデル「BS-2200TG」が存在します。

キヤノン プロ仕様電卓 BS-2200TG
キヤノン プロ仕様電卓 BS-2200TG

管理人はこの実機も所有しておりましたが、カシオやシャープと比較してキータッチがグニャグニャしており、キーボードの端っこを押すとキーが傾き押し込めないような仕様でした。押し間違いも多く満足できなかったので処分しました。

最近出たモデルとしてはビジネス電卓モデルの「KS-1220TU」が同じく3キーロールオーバーです。

Canon 12桁  ビジネス向けKS-1220TU-BK SOB 見やすい大画面 千万単位機能
Canon 12桁 ビジネス向けKS-1220TU-BK SOB 見やすい大画面 千万単位機能

実機はまだ触ったことはありませんが、上記のBS-2200TGの価格が4,054円に対してKS-1220TUの価格が2,680円と安価なモデルのため、プロ仕様のBS-2200TGより会計向けの優れた電卓ではなさそうです。

ということで、CASIO S100が会計職に従事する者にとって数少ない選択肢の一つであることはわかっていただけたかと思いますが、それでも3キーロールオーバーモデルが2,680円で市販されているのにS100が3万円もするのはやっぱり高いと思われるかもしれません。しかし、3キーロールオーバー以外にも利点はあります。

【朗報】CASIOから3キーロールオーバー実務電卓が登場

2016年2月2日 にCasioから低価格で3キーロールオーバー搭載電卓が登場しました。会計に携わるならこれを買っておけば間違いないでしょう。

デスクサイズ(1キーの下が0キー)。


カシオ 本格実務電卓 日数&時間・税計算 デスクタイプ 12桁 DS-20DB-N

ジャストサイズ(1キーの下が00キー、左下が0キー)。


カシオ 本格実務電卓 日数&時間・税計算 ジャストタイプ 12桁 JS-20DB-N

本業で経理業務を行っている管理人はDS-20DB-Nを2台購入して自宅とオフィスに置いています。使用感は、DS(デスクサイズ)モデルは通常の電卓のように押しごたえがあるフカフカした感じで、JS(ジャストサイズ)モデルはDSより若干硬めの味付けになっています。もちろん最もハードなメカニカルかつハードな打ちごたえなのはS100です。個人的にはJSモデルの打ち心地が最も好みですが、DSも流れるように高速でタイプ出来るので十分満足しています。

質感に関してはS100には劣るものの質感や機能性は十分にあり、安っぽい感じは全くありません。1万円未満と安価に手に入るため複数購入や予備購入も気軽に行えます。

なお、デスクサイズではより分厚い12桁の「DS-2DB」、14桁の「DS-3DB」も合わせて発売されましたが、こちらはレートの「マルチ換算」機能がついており「√(ルート)」機能が省かれております。管理人は√(ルート)を利用することもあるため今回は選択しませんでした。

理由としては、レートの換算は基本的には記憶で対応するか、電卓の上に付箋を貼り付けているため、マルチ換算機能は特に使用しない点にあります。また、他の電卓を一時的に使用する場合やパソコン上の電卓を利用する場合、レートを記憶しておいたほうがどの環境にでも対応できるからです。例えば「インチ→cm」「lb→kg」「m2→坪」といった換算は頻発するため、記憶しておいたほうがいいでしょう。

CASIO S100はここも違う

キーストロークが小さく、キーのどの位置を叩いても正確に打ち込める

pic-s100-keyS100はV字ギアリング構造を採用しており、キーの中央だけでなく端のどの部分を押してもキーが大きく傾くことなくまっすぐキーを押し下げることができ、正確に数値を入力できます。

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(C) Canon S100 製品詳細

また、薄型のアイソレーションキーを採用しています。アイソレーションキーというのは昔のパソコンのキーボードのようにキー同士が隣接しておらず、数ミリの隙間があるキーのことを言います。アイソレーションキー自体は電卓には珍しいものではありませんが、薄型のためストローク自体が少なめにできています。 また、キー自体のクリック感が究極に素晴らしく

パチッパチッ!

とまるで家のスイッチをON/OFFするかのように快適なキータッチが特徴です。キー自体のサイズも指先のサイズにぴったりフィットする横幅があり(他社の場合横幅が小さめで指がはみ出すモデルや、逆に大きすぎるモデルがあり)、かつ中央が凹んでおり指がフィットします。キーは縦幅は短いため 「963」といった具合に縦に指を動かす場合もスムーズに入力ができます。

液晶が見やすく、蛍光灯の映り込みが軽減されている

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コントラストの高いFSTN液晶が搭載されており、これにより電卓を上の方だけでなく水平面より30°程度の角度から見ても液晶がはっきりと視認できます。

また、会計職は事務所の蛍光灯直下での作業が多いかと思いますが、光の透過率が高く映り込みの原因となる蛍光灯の反射が少ない両面ARコートディスプレイウインドウを採用しており、蛍光灯の映り込みが他機種や他メーカーモデルと比較して軽減されていますので、視認性が高いです。

アルミ削り出しボディの剛性感と重量感

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安価な電卓はプラスティック製で軽いため、キーを高速で入力するとカタカタと振動したりしますが、そういったこともなく高い剛性感と重量感で安心してキーを叩くことができます。

底面が全面ストッパーとなっておりガタガタ動かない

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エラストマー樹脂のストッパーが全面についており、ちょっとやそっとの入力では全くガタつくことなく入力できますし、指を斜めから打ち込んでも電卓が滑り動くこともありません。

安価な電卓では底面の下の方はラバーが付いておらず小さなゴム足2点で支えられていることもあり、とにかく動きます。4点の場合もゴム足が小さいとずれ動くことはありますし、ゴム足のどれかが取れたり汚れたりして均一にグリップせず、やはりずれ動きやすくなることがあります。この電卓はそういった不満を全く感じません。

2色成形仕上げでキー刻印が剥げない

これは中堅以上のモデルには該当するモデルも多いのですが、キーの刻印を成形時に内部から仕上げており、印刷仕上げの製品と異なり長く使い続けても文字が消えることなく使い続けることができます。

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5年保障

なんと保証期間は5年間です。高価格帯というのもありますが、剛性が高いのも理由の一つでしょう。

3万円でも赤字のこだわり

会計職のタフな仕様にも耐える電卓ですが、本来このモデルは「高級車を売る営業マンが高級ボールペンを使うのに電卓は980円のものでいいのか?」という疑問から誕生した高級志向の製品です。

ですので、メルセデス・ベンツやBMWといった外車ディーラーや、マンション販売業者、高級料亭等と言った「高級志向」のお客さんを相手にする商売をされている方が、お客さんの前で使用しても恥ずかしくない電卓というニーズもあります。

しかも、開発についても素材メーカーから探し始めるという力の入れようで、アルミ削り出しボディは削り出しに1個あたり2時間近くかかるとのことで、通常の電卓1個数秒とは桁違いに製造に時間のかかっている商品です。なんと3万円で販売しても赤字だと開発者が漏らしているとの話もあります。

結論。3万円は妥当な価格

だと思います(`・ω・′  )

実際、3万円の販売にも関わらず初期在庫がわずか2ヶ月程度で完売してしまいました。ヤフオクの中古市場でも3万円〜3万5千円と定価より高い価格での落札事例(中古で!)もあり、あまりの高額値付けに戸惑っていた方たちも今となっては「買っておけばよかった」という方もいます。

今保有している方は、もう販売されない高品質モデルですし、将来的にはプレミアが付く可能性もありますので限定品ではなかったため再入荷すれば購入可能です!よかった…!)、どうか安易に処分したりせず大切に使い続けて欲しいと思います。

電卓メーカーさん、3キーロールオーバーの高品質モデル作りましょう!

カシオ・シャープ・キャノンさんには、ぜひS100の成功(赤字だけどw)に見習って、3キーロールオーバーのモデルを増やすとともに、キャノンのBS-2200TGのようなキーが軟弱なものではなく、もっと正確に数字をバシバシ打ち込める品質の良いキーのモデルを作ってもらえると嬉しいなあと思います。

理想を言えば、カシオさんはS100のプラスチック廉価モデル(1万円切ればターゲットもぐっと増えそうです)、シャープさんはEL-G35の再生産、キャノンさんはBS-2200TGのキーを改良して販売して欲しいと思います(`・ω・′  )

Twitterの反応は

使ってみないとわからないこの究極さ。

https://twitter.com/toudenwatt/status/702049934095228928

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S100は店頭では展示していませんでした。買って使ってみるしかないのです。

https://twitter.com/MxrxTxKxN/status/695966789847527424

シャープ電卓ユーザーも買ってみたようです。

簿記論なので税理士試験受験生のようですね。さすがに予備も買うと6万円なので大切に使うしかないですね。

山形県東根市に6万円のふるさと納税をするとS100がお礼としてもらえたようです。

さすがに名入れは管理人も躊躇しました(°ω°)

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めっちゃ必要なんです(切実)

というわけで、会計業務や会計試験に利用される方は3キーロールオーバーの実務に最適なCasio電卓をおすすめします。


DS-20DB-N (Amazon.co.jp)


JS-20DB-N (Amazon.co.jp)

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